年画で迎えるお正月〜ベトナム民間版画展〜

新聞の小さな告知欄で見つけた展覧会、「ベトナム民間版画展」を吉祥寺美術館に見に行ってきました。


  
「年画」とは、もともと中国の人たちが春節(旧正月)に厄除け、家内安全、招福の目的で家に飾る民衆版画のこと。

ベトナムで有名な「ドンホー版画」も中国から伝わり作られたものだそうです。
今回はこの「ドンホー版画」に加え、「ハンチョン版画」も数多く展示されていて、その違いを較べながら見ることができました。 

「ドンホー版画」はその昔、仏教伝播の地として栄えたハノイ近郊のドンホー村で収穫後の農閑期に正月(テト)用の飾り絵として制作されていました。

題材は、ベトナムの歴史や英雄を描いたもの、男女の風俗を揶揄した風刺図、中国故事や民話からとられたものなど、親しみやすいものが多いのが特徴です。
こういう特徴のものはベトナムに行くと版画を売っているお店や文房具店でカードとして売られていたりとよく見かけるものですが、今回の展覧会では、子どもの勉学を奨励したり、戦時下のプロパガンダ的な役割を持っていたドンホー版画もありました。

「独立平和のために勉強しよう」とか米軍の落下傘部隊を追いかける南ベトナム解放戦線部隊を描いた「統一の日」など、写真でお見せできないのが残念ですが、こういうドンホー版画もあったのだなぁと驚きました。

手持ちのカードでドンホー版画のご紹介。こちらは「子沢山な豚」。

     
多産なブタは子孫繁栄の象徴です。

対して「ハンチョン版画」はかつてハノイ市内のハンチョン通りで富裕層からの注文により制作された、都市派の年画です。
中国年画の影響が色濃く、祭祀図や装飾的な花鳥図が多いのが特徴。

今までは「ドンホー版画」と思っていた「ハンチョン版画」がたくさんありました。
こちらも手持ちのカードでご紹介します。(全部ドンホー版画と思って買っていたのですが)

「鯉魚望月図」。中秋の月見をする鯉の図。

        

鯉は日本のこいのぼり同様、立身出世の象徴。

「ねずみの嫁入り」。

     
ねずみが猫に鳥や魚をせっせと運んでいて、嫁入りのような大切な行事も賄賂を贈らなければうまくいかないという、封建社会の悪しき習慣を風刺しています。

この展覧会は1月18日で終了していますが、今回約120点のコレクションを見せてくださった女子美術大講師田所政江さんの本が出版されています。
制作方法や題材なども網羅された、中国の年画にもものすごく詳しい著者のこの本、私も欲しいなぁ。


    

初めて行った吉祥寺美術館。伊勢丹新館の7階にあるなんて全然知りませんでした。
小さな美術館ですが、静かな、落ち着ける場所です。